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2024-04-04

自らの道を突き進んでいく相棒としてのシグネットリング<前編>

こんにちは。KUBUSの斎藤です。

先日、HP内のトップ画面にあるKUBUSの紹介文を新たにしました。

KUBUSのオーダーメイドシグネットリングについて

デザイン作成や彫刻による表現力が向上し、「これがKUBUSのシグネットリングだ!」といった特徴をより色濃く出せるようになって、以前の紹介文の内容ではそれを表すには不十分なのではないかと感じるようになっていました。

自分でもなぜこんなに魅せられているのか言い表せない程に”シグネットリング”という装身具にこれでもかと拘って制作をしているので、それをシンプルに分かりやすく紹介文へと込めるのはなかなか大変でしたが、KUBUSを初めて見つけてくれた方はもちろん、以前からKUBUSに注目してくださっている皆さんにもシグネットリングやKUBUSの魅力を感じていただけるようにと文章を考えてみました。

いかがでしょうか?僕の気持ちが皆さんに少しでも届きますように。

紹介文にもあるように、シグネットリングは”あなたが誰であるか”や”あなたが何を大切にしているか”を思い出させてくれる装身具です。つまり、着ける方が自らを表明するための指輪です。

そこには自分の名前が刻まれていてもいいし、大切な人の名前でもいい。信条としている言葉でも、言葉でなく何かのモチーフや模様だっていいんです。シグネットリングへ込める想いは十人十色ですから、こうでなければいけないということはありません。

自らが大切にしていることを抱きしめ、離さないよう守る。そんな自分自身との約束をする装身具がシグネットリングです。

インターネットでシグネットリングについて調べてみると、よく『シグネットリングは権威を誇示するための指輪』などという言葉を見かけます。

僕からするとシグネットリングに身を捧げることすらしていないのに知ったようなことを言っちゃってと笑ってしまいますが、ここは一旦クールにその等式を壊してみたいと思います。笑

”シグネットリング=権威の象徴”ではなく、”シグネットリング⊃権威の象徴(シグネットリングは権威の象徴であることを含む)”というのが正しい理解だと僕は考えます。

つまり、シグネットリングには権威の象徴といった着け方をされる場合もあるということであり、それはシグネットリングが持つ働きの一部に過ぎません。

シグネットリングの歴史を調べていくとすぐに分かることですが、資料にある歴史的なシグネットリングの数々の中には、確かに権威の象徴として身に着けられていたと思われるものもありますが、それ以外にも信仰を表すものや呪文を刻み不幸から身を守るためのもの、結婚の贈り物として作られたもの、大切な存在の死を悼むもの等々、シグネットリングの数だけそこへ込められた想いは異なります。

何千年ものあいだ人々の心に寄り添い、それを投影するように存在し続けているのがシグネットリングという指輪なんです。

またアツくなって前書きが長くなってしまいましたが、時折目にする表面を撫でただけの謳い文句のせいでシグネットリングの楽しみ方が制限されてしまっているのが勿体無くて、久しぶりに少し物申してみました。笑

本当はこんな”シグネットリング風”に対しても言いたいことが沢山あります( ̄∀ ̄)笑

彫刻デザインがオリジナルのものではなく既存のもの(しかも自らが作ったものでもない)なのに、選べるデザインの豊富さによって、まるでそれがスペシャルなものであるように言っているお店や、別に大して難しいことをしている訳ではないのに、さもそれが至高の技術でしか成し得ないように言っているお店を見かけることについて等々、、、。

これからもさりげなくそういった話題に触れながら斬り込んでいきますので、そんな時には「おっ、目の色が変わったな?」とダーク斎藤を楽しんでみてください。笑

ふぅ〜。オープニングトークが随分と長くなってしまいましたね。汗 でも、それだけKUBUSは本気で命懸けでシグネットリングと向き合っているのだとお伝えすることによって、もちろん野暮ったいことは重々承知の上ですが、これから紹介するご依頼品が(もちろんこれまでのご依頼品も)どれだけかけがえのない存在であるかを皆さんに少しでも感じていただきたい。そして、こうしたブログやその他のKUBUSの活動を通して、僕が大好きなシグネットリングを皆さんにも気に入ってもらえたら嬉しいです。

今回のブログで紹介をするシグネットリングは『自らの道を突き進んでいく相棒としてのシグネットリング』と名付けました。

ご依頼をくださったのは、KUBUSのシグネットリングの取扱いもしていただいている広島のテーラーThe My Wayの清水さん。

出会いは5年前、まだKUBUSがシグネットリングを始めたばかりの頃でした。というよりも、KUBUS一本でご飯を食べていかなければならない状況になりたてか、なる直前くらいの時期。今のようにご依頼を沢山頂けるKUBUSの姿を想像だにできない状況でしたから、毎日生き延びるようにして生きていました。

そんな時に、たまたま一通のダイレクトメッセージがKUBUSのインスタグラムアカウントに届きます。

『今度うちのお店の5周年記念パーティがあるのですが、シグネットリングの販売をさせてもらえませんか?』

飛び上がりました。笑 ついこの前シグネットリングの発表をしたばかりのKUBUSに対して”シグネットリングを”と指名をしていただけたこと、そして何よりその連絡をくれたのが少し前に「このお店格好良いな〜。この人の考え方共感できるな〜。」とこっそりブログを読んでいた人からだったので尚更びっくり!

たまに褒められないこともしたけれど、基本的には素直で真面目に生きてきた僕への神様からのご褒美かと思うほどに奇跡的なタイミングでした。(本当にこのままじゃヤバイくらいギリギリの生活でもあったので。笑)

きっとそのご連絡はシグネットリングをお送りして販売をしてくださるという意味だと文章から感じ取ってはいたのですが、バカなふりして言ってみました。

「僕も行きます。」

何とこれまたびっくり。有難いことに快諾してくださり、急遽広島行きが決定しました。

とはいえ、パーティを1週間後に控えているのに、手元にあるシグネットリングはたった一つ。だってKUBUSは実店舗がある訳ではないし、オーダーメイドだから在庫を抱える必要もありません。でも、これじゃパーティの笑い者です。

大急ぎで制作しました。寝食をろくに取らずに作り続けること1週間。そして、出発の数分前まで手を真っ黒にしながら制作をし続け、いざ広島へ!

初めて会うピチピチの若者だった僕を優しく歓迎してくれた清水さん。そんな人が営むお店の周年記念パーティに集う人たちも素敵な方ばかりでした。

僕としては明日食ベるための生活費を稼がなくてはいけませんから、何とか注文が欲しくて、慣れないなりに一生懸命にシグネットリングやKUBUSのことを説明しました。

そして、少なくない件数のご依頼を頂くことができました。そして、清水さんご自身のシグネットリングのご依頼も頂きました。その時は何もかも拙い僕でしたから、今振り返るときっと作品のクオリティではなく、もちろんKUBUSというブランド力でもなく、なりふり構わず必死に頑張っている若者を応援してあげようという皆さんの優しさだったと思います。有難い。

パーティでのご注文によって何とかその月は生き延びられる目処が立ち、そしてこれまた有難くて頭が下がりっぱなしになってしまうのですが、その際にご依頼くださった方から『今度うちの会社で展示会があるから出店しない?』と、こんなことがあって良いのですか!?というようなお誘いをいただきまして、そこでも皆さんの優しさで沢山のご注文をいただけたおかげで、僕のKUBUSを生業とする生活がスタートしました。

The My Wayの清水さんとの出会いのきっかけとなった5周年記念パーティから5年が経とうとしている今年、創業10周年を迎えられる記念にご依頼をいただいたのが今回のブログで紹介する『自らの道を突き進んでいく相棒としてのシグネットリング』です。

さぁ、それでは制作の模様を、、、と言いたいところですが、KUBUSの歴史の振り返りもしてしまったのでここまででかなりの大作となってしまいました。

そのため、今回のブログは前編・後編に分けまして、制作の模様は後編でお伝えすることにします!笑

それでは、後編をお楽しみに!(この勢いのままこの後すぐに後編を書き始めるので、そんなにお待たせしないはず。)


KUBUS 斎藤

The My Way HP:https://www.themyway2014.com

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