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2020-08-05

【Semi-custom made】Hand Engraved Brass×Silver Combination Signet Ring(L) 「DH」

こんにちは。KUBUSの斎藤です。

僕の住んでいる神奈川県ではようやく梅雨が明けまして、どんよりな天気に引っ張られていた心もパッと晴れやかな気分です(^^)

それでは、オーダー頂いたシグネットリングの紹介をしていきますね!

今回は、ブログによく登場するシグネットリングとはちょいと毛並みが異なりまして、パズルのように組み合わせて作り上げていくといった特徴があるもの。

何を隠そう、KUBUSがシグネットリング中心に制作をするようになるキッカケになったデザインでもあるんです。作る度に初心に返ることができ、自分の技量を確かめることもできる、そんな僕にとってとても思い入れのあるシグネットリング。

ご注文をくださった方がたまたま比較的近所にお住まいでしたので、サンプルをお見せしたり、採寸をさせて頂いたり、ご希望のモノグラムの雰囲気について伺ったり、どのようなお仕事をされていらっしゃるのかも伺ったりしながら、一緒に作り上げていくシグネットリングについての想像を膨らませていきました。

Brass×Silverのコンビシグネットリングには、フェイスサイズの大きさによって現在S、M、Lの3種類を用意しています。今回は、オーダーくださった方との作戦会議の中で「Lが良いでしょう!」ということで決定!

それでは制作開始です!

まずは糸鋸を使って土台となるシルバー部分のパーツを切り出していきます。

キチッと寸法が出るよう、焦らず確実に。

切れました。

シグネットリングパーツ切り出し

実はこの形、緻密な計算を元に各部の寸法を弾き出しておりますです。その製図方法は社外秘。笑

切り出したこのまだ平面的なパーツ、火を入れ叩いてを繰り返し、立体的にしたらこんな風に組み合わせます。

ロウ付け準備

なんとなくシグネットリングの雰囲気が出ていることがお分かり頂けますでしょうか?なんとなーくです。笑

ロウ付けをしたら、シグネットリングの腕になる部分をこれまた火を入れ叩きを繰り返して、ぐるんと形を変えていきます。

形がある程度整ったら、またロウ付け。

腕部分ロウ付け後

先ほどよりも指輪らしくなってきましたが、まだまだ完成には程遠い状態。

火を入れ叩いて形を槌で出来る限り整えたら、道具をヤスリに持ち替えシグネットリング特有の魅力的な曲線を追い求め削り出していきます。地味な作業ですがこれもまた大変な作業です。

粗削りができたところで、フェイス部分に組み込む真鍮パーツも制作していきましょう。

糸鋸である程度の大きさに切り出したら、寸法通りになるようヤスリがけ。

ピッタリフィット直前は、ほんの少しの削り過ぎが命取り。削っては確かめてを繰り返し、時間はかかりましたが真鍮パーツも完成。

粗削り後

シルバーの土台とフェイス部分に組み込む真鍮パーツをロウ付けしたら、ようやくシグネットリングらしくなってきました。

フェイス部分ロウ付け後

組み込んだ真鍮パーツを馴染ませるように整えていきます。ピタリとおさまっている姿がたまらなく気持ち良い(^^)

粗削り後

形作るために粗めのヤスリを使用していましたが、ここからは紙ヤスリを使って表面が滑らかになるよう研いでいきます。

いくつもの番手を経てようやくつるりとしてきました。

ペーパーがけ後

あとは、仕上げ磨きをしたら完成!!

とはいきません。笑 手彫りモノグラムのご依頼も頂いておりますので、完成はもう少しおあずけ。

事前にいくつかご提案したモノグラムデザインの中からお選び頂いたものを手彫りしていきます。

彫刻台にセット!完成した姿を思い描きながら、作成したデザインを下書き。

手彫り前の下書き

こちらのデザインは、「DH」のモノグラム。今回ご注文くださった方は、これから飛行機のパイロットになられる方。

僕は、『飛行機の操縦士』と聞いた時に「しっかりしていて、落ち着きがある人なんだろうなぁ」と自然と想像してしまいます。皆さんはどうでしょうか?同じようにイメージされる方も多いのではないかと思います。

ただ、こちらのリングをオーダーくださった方とお会いし話した時に感じたのは、優しくて明るいお人柄。もちろんイメージ通りのしっかりさや、落ち着いた様子も持ち合わせていらっしゃるんですけれど、冷静で動じないといったような寒色のイメージではなく、黄色やオレンジといったような明るい雰囲気や、黄緑のような優しさも感じさせるような方なんです。

ん?急に色のことなんか言い出してよく分からない?

主にメールのやり取りでオーダーメイドジュエリーの制作を日々行っていると、色んな角度にアンテナが張り巡らせられるようになるんです。笑

時には匂い、時には味、色といったような、メールからは物理的に感じ得ないことであったとしても、感じようとすると感じられるようになるんです。「心がどのように動くか」これを敏感に察知し、伝えるためには、このような一見不思議な捉え方が大切だったりもします。

といったように、お会いした時の感覚や頂くメールの文章から、オーダーくださった方の印象を膨らませつつ、形自体もどこか飛行機を連想させるようなモノグラムデザインに仕上げました。

よーく見ると、飛行機の翼の形や飛行する軌道に見えてきやしませんでしょうか?

モノグラムデザインの裏側について少しだけご紹介してみました!

それでは、いよいよ手彫りしていきます。

ここまでご覧頂いてお分かりかと思いますが、今回はパーツを組み合わせて作るシグネットリングということもあって、制作方法がちょいと複雑です。

だからなのか、いつも以上に緊張感が、、、。

こりゃいかん。気持ちを整えるべく深呼吸。よしっ。

いざ!

彫り始めてしまえば、僕を押しつぶそうとしていた緊張さんは何処へやら。彫ることだけに集中し、時間があっという間に僕のことを追い越していきます。

うん、良い感じ。彫れました!!

モノグラム手彫り後

仕上げ磨きをしたら遂に完成です!!!

Hand Engraved Brass×Silver Combination Signet Ring(L) 「DH」_完成

手彫りの魅力の一つ、彫った箇所がキラリ。

Hand Engraved Brass×Silver Combination Signet Ring(L) 「DH」_完成2

完成直後のピカピカ状態でも真鍮部分とシルバー部分とのコントラストが綺麗ですが、経年変化によってフェイス部分に組み込んだ真鍮パーツが飴色に深みを増し、更に美しく育っていきます。その成長過程を楽しんで頂けたら嬉しいなぁ。もちろん土台のシルバーも渋く育ちます(^^)

Hand Engraved Brass×Silver Combination Signet Ring(L) 「DH」_完成3_フェイス部分裏面

裏面にはこの作り方だからこその手彫りKUBUSサインがこっそり鎮座。ロウ付けによってロウ材が流れ、文字が薄くなっているところもありますが、それもまた味わい深いと思います。

ケースにキュッとおさめたら、いってらっしゃい!

リングケースの中に入れた様子

オーダーくださったHさん、ご注文本当にありがとうございました!『自分色に育て上げて行きます!』とのお言葉すごく嬉しいです。「届いた時が完成なのではなく、着けることによって育ち、完成に近づいていく」そんな姿を楽しみながらご着用頂けたらなと思っております。次にお会いする時、更に特別になったシグネットリングを着用されているHさんにお目にかかれるのが今から楽しみです。Hさんにお会いしてから、飛行機を見上げる度に「あー。すごいなぁ。いつかHさんが操縦する飛行機に乗ってみたいな。」と、こっそり心躍らせています(^^)

今回オーダーくださった方のように、お近くにお住まいの方であればご希望に応じて直接お会いするということも行っておりますが、なかなか皆さんとそれができるわけではございません。ですから、ほとんどの方とはメールでやりとりをさせて頂きながらジュエリーを作り上げていきます。

「オーダーメイドジュエリーをメールで注文するのって初めてなんです。」と抱いていらしゃるご不安をお伝え頂くことが時々あります。でも、大丈夫。KUBUSにご注文をくださるほとんどの方が初めてでいらっしゃいますから。どうぞ安心して飛び込んできてもらえたら嬉しいです。

今回も最後までご覧頂きありがとうございました!

おっと、忘れてた。実は新たな試みとして、360°ぐるりと指輪の様子を確認できる動画を用意してみました。写真だけではなかなか伝わらない、手彫りのキラリと輝く姿をご覧ください!


KUBUS 斎藤

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