世代を超えて引き継がれていくシグネットリング
こんにちは。KUBUSの斎藤です。
前回のブログ「息子さんの健やかな成長を願うシグネットリング」のオープニングトークで話題に登った『私はフェルメール 20世紀最大の贋作事件 フランク・ウィン【著】/小林頼子・池田みゆき【訳】(ランダムハウス講談社)』(書籍概要:紀伊国屋書店HP)。
なんと「ブログを読んで買ってみたよ〜」と連絡をくださる方が!制作した作品以外で僕が紹介した物事にも興味を持っていただけてとても嬉しかったです。ありがとうございます!
ここまで暑くなると外出するのが億劫になりますね、、、。きっと学生はもうすぐ夏休み?大人も人によってはお盆休みが来月に控えているといった時期だからなのか、各地の美術館や博物館で面白そうな展覧会が企画されています。
本当は暑いから外には出たくないのですが、それで素晴らしい作品との出会いのきっかけを逃してしまっては勿体ないから、なるべく暑さや人混みを避けながら芸術の夏を楽しんでみようと思っています。印象に残る作品と出会えた際にはまたブログで紹介しますね!
今回のブログで紹介をするのは「世代を超えて引き継がれていくシグネットリング」。息子さんの誕生記念としてご依頼を頂きました。
ブログを通して、皆さんにもシグネットリングの無限の可能性を感じていただけたら嬉しいです。
メールにて打ち合わせを行い、下記の内容で制作をさせていただけることとなりました。
- 形状:Octagon
- フェイスサイズ:15.5mm×13.5mm
- 素材:K18WG
- 手彫りモノグラム彫刻:「曹」”紋章のようなデザイン”
- 裏面への手彫り彫刻:「Z」「R」
まずはシグネットリング本体の造型作業が完了した状態の写真からスタートです。
Octagon形状のシグネットリングは、その名前の通り八角形のフェイスを持っているのですが、8本の辺に対応する八つの面だけでなく、それに加えてフェイス面と裏面で構成されていますから、制作の際には10個の面を造型し研磨していく必要があります。
そして、それら全てが均整のとれた状態になっていなければいけません。KUBUS以外のシグネットリングブランドでもOctagon形状を作っていますが、そこが各制作者の腕の見せどころであり、美的センスが露わになるポイントです。
こうしたシグネットリング本体の造型作業と並行して彫刻するモノグラムデザインの作成も進めていました。
普段はアルファベットを主にしたモノグラムを多く手がけているKUBUSですが、今回のご依頼は漢字のモノグラム。「曹」という漢字を使ってデザインを作成させていただきました。
KUBUSではどのようなモノグラムの作成・彫刻が可能かを説明した『モノグラムの手彫り彫刻』では、アルファベットのご依頼が多いことから漢字を使ったモノグラムは”漢字のデザイン”としてひとまとめにしてしまっていますが、漢字であってもアルファベットと同じようにあらゆる雰囲気のモノグラムにデザインさせていただけます。
今回は漢字の「曹」をこちらのページで言うところの”紋章のようなデザイン”のモノグラムで表現しました。
事前にご依頼くださった方へご提案し、OKを頂けたら彫刻に備えてシグネットリングへ下書きしていきます。
いざ手彫り開始!
夢中になって彫刻していたら途中経過の写真を撮り忘れてしまいました、、、。気付いた時には机の上はタガネだらけ。
撮影は忘れてしまいましたが無事に彫刻完了です!
いかがでしょうか?漢字のモノグラムもすごく格好良いでしょう?
息子さんの誕生記念としてのご依頼のため、静的で冷たい印象のデザインになってしまっては相応しくないと考え、動きのあるデザインを各部に入れながら息子さんの誕生を祝福し、生命力を感じさせるようなモノグラムを作成させていただきました。
そして、こちらのシグネットリングは息子さんの誕生記念であると同時に、これから代々受け継いでいかれることを想定してのご依頼です。そこで、フェイスへのモノグラムの手彫り彫刻に加え、裏面にはご依頼をくださったお父さんのお名前のイニシャルとこの度誕生された息子さんのお名前のイニシャルを彫刻させていただきました。
フェイスへ彫刻する際に途中経過を撮影し忘れた悔しさから、裏面へ彫刻する様子はバッチリ撮影しました!しかも動画で!!
こうして全ての彫刻が完了し、仕上げの研磨を行ったらいよいよ完成です!!!
代々引き継がれていくごとにイニシャルを彫り足せるよう、右側にはスペースを空けて彫刻させていただきました。
KUBUSロゴもしっかり入っています。
『Gallery』ページ等で見比べていただくと写真からでも伝わるかなと思いますが、シルバーは白っぽい爽やかな銀色なのに対してホワイトゴールドは重厚感のある鈍い銀色といった色合い。よーく見るとうーっすら金色がかっているのも魅力の一つです。
一般的にホワイトゴールドのジュエリーには最終仕上げとしてロジウムメッキをかけますが、KUBUSは彫刻をメインにしていますし、ホワイトゴールドにしか出せない色合いが魅力的だと考えているので、メッキをかけない無垢の状態でお届けしています(ホワイトゴールドだけではなく、全ての素材においてKUBUSではメッキをかけていません)。
オーダーしてくださったTさま、この度はご依頼誠に有難うございました。息子さんの誕生記念としてご依頼を頂きましたが、制作期間の中でTさまご自身の環境にも変化があり、偶然にもその節目でのお届けができたことに見えない力を感じました。息子さんから更に次の世代へ引き継がれ、再びこちらのシグネットリングへ彫刻させていただける日が来るのを楽しみにしています。
シグネットリングは身に着けられる芸術品であると同時に、それを身に着ける人によって様々な意味を持つ存在となります。
自分自身を理解し受け入れるための鏡であり、鼓舞したり包み込んでくれるお守りであり、世代を超えて引き継いでいくことができるタスキであり、大切な人との結びつきを形にできるしるしであり、、、。
シグネットリングの数だけ、それを着ける人々の数だけ、そこには意味や想いが宿ります。
最初はただ見た目がカッコイイからというきっかけでももちろん良いと思います。打ち合わせや制作期間、そしてシグネットリングとの生活を通して、きっと何か意味を見出していただけるはずです。
そうしたシグネットリングの無限の可能性を信じていただける方からのご依頼をお待ちしています。
KUBUS 斎藤
【Gallery】Hand Engraved Octagon Signet Ring(K18WG)「曹」(裏面彫刻:「Z、R」)
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