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2022-10-31

英国王室内のシグネットリングとロイヤルサイファー

こんにちは。ヤバッ!全然ブログ書いてないじゃん!と思い出し、慌てながらも平気な顔しているKUBUS斎藤です。

先日エリザベス女王の後継としてチャールズ新国王が即位したというニュースを目や耳にした方も多いのではないかと思います。エリザベス2世がどのような方であったのか、そして、チャールズ新国王はどのような国王になっていくのか等といった、人物にフォーカスを当てた報道が多いような印象がありますが、シグネットリングブランドであるKUBUS視点で注目をしていることがあるのです。

僕個人としては君主制や階級制といったシステムを好ましいとは思っておらず、もちろんその全てではありませんがカウンターカルチャーの方に注目をしたくなる傾向にあります。きっと「変えてやるんじゃあ!!!」というマイノリティ側だからこそ生まれる姿勢と言いますか、その生き様から僕は力を貰える生き物なのだと思います。笑

ですが、大好きなシグネットリングの歴史を語る上で決して切り離すことができない存在の一つが英国王室。そこへ”シグネットリング”という一つの装身具からアプローチしてみましょう。

それでは、早速いくつかの写真をご覧ください。

HRH Prince Charles Allan Warren

Philip, Duque de Edimburgo em visita ao Brasil

King George VI crop (cropped)

1枚目はこの度国王に即位したチャールズ3世、2枚目はその父であるフィリップ王配、3枚目はその妻エリザベス2世の父ジョージ6世の写真です。

彼らの手元にご注目ください。そう、シグネットリングが輝いています。この3名以外にも多くの王室メンバーに着用されてきているシグネットリング。日本では一般的に「紳士のみに許された指輪」などと極めて限定的にシグネットリングを捉える風潮がありますが、実はしきたりを重んじる英国王室内にあっても女性が身に着けることもしばしばあります。

例えば、この方。

Diana Frances Spencer (1961-1997)

ダイアナ元妃も比較的小ぶりなシグネットリングを着用していました。著作権の関係でブログに掲載できる写真が見つからなかったのですが、ヘンリー王子の妻であるメーガン妃が着用している姿も記事になっています。

このように英国王室と密接に関わりを持つジュエリーの一つであるシグネットリング。フェイスに刻まれているのは紋章やロイヤルサイファーで、その後者について更に注目をしてみましょう。

サイファー(cypher)とは所謂モノグラムのようなもので、モノグラムが個人名等の頭文字を組み合わせて作られるのに対して頭文字を組み合わせたものではないものをサイファーと呼ぶようです。厳密に分けるとこのように呼び方が変わりますが、モノグラムとほぼ同義と捉えて問題はないと思います。KUBUSでもご依頼によってはお名前の頭文字の組み合わせではなく、お名前とモットーを表すアルファベットを組み合わせてデザインを作成させて頂くことがありますが、それもモノグラムと呼んでいます。

紋章学上、サイファー(cypher)の中でも英国王室ゆかりのものをロイヤルサイファー(Royal cypher)と呼び、政府の建物や文書、郵便ポスト等で使用されています。

HKPostbox

この写真のポストに刻まれているのはエリザベス2世のロイヤルサイファーでこのようなデザイン。

Royal Cypher of Queen Elizabeth II

そして、この度チャールズ3世が新国王に即位し、紋章院が制作したデザイン案の中から新国王が自ら選んだというロイヤルサイファーがこちら。

Royal Cyphers of King Charles III

向かって右側はスコットランドにおけるロイヤルサイファーで、上に描かれる王冠によって区別されます。「C」はチャールズ、「R」は国王を意味するラテン語「Rex」、その中心に描かれている「Ⅲ」は3世を表します(上記のエリザベス2世のデザインのうち「R」は女王を意味するラテン語である「Regina」)。ロイヤルサイファーに描かれる「R」の文字は、君主の権威を示すものであり、(12世紀初めの君主である)ヘンリー1世の時代から、公文書や公式の書信に署名するときに使用されてきた』(歴史家のマーリーン・ケーニグ氏)とのこと。この新たなロイヤルサイファーに順次変更されていく予定のようです。

そして、僕が個人的に気になっていることがもう一つ。

それはチャールズ3世が皇太子時代から身に着けているシグネットリングがどうなるのかということ。

チャールズ3世のシグネットリングにはプリンス・オブ・ウェールズの称号を表す紋章が刻まれていますが、この称号が子息のウィリアムに移ったことからチャールズ新国王が長年身に着けてきたシグネットリングが新たなものに変わるのかにも注目しています。

今でもプリンス・オブ・ウェールズの紋章が刻まれたシグネットリングを着用しているようで、増やすことはあっても着け替えることはしたくない僕のシグネットリングとの付き合い方からして何だか勝手に嬉しく感じています。笑

ふぅ〜時事としてサラッと触れるだけの予定でしたが、この度新たに決定したロイヤルサイファーに関してシグネットリングを切り口に書いている記事がなかったこともあって自然と力が入ってしまいました。本当はそれと関連させながらご依頼頂いたシグネットリングの紹介をしたかったのに、、、。汗

長くなってしまったので今回のブログはここまでにして、次回はいよいよオーダー品の紹介!

それではまたすぐにお会いしましょう。


KUBUS 斎藤

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