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2022-08-31

ご夫婦のイニシャルを組み合わせたモノグラムを刻んだペアシグネットリング

こんにちは。KUBUSの斎藤です。

例のごとくブログの更新が滞ってしまいました。汗

まずはこちらをご覧ください。

小人工房さんのブログ『奇行の賜物-2代目・つがいバングル

すげぇ。実はこちらのブログが公開される少し前に一足先に『2代目つがいバングル』の写真を見せてもらっていたのですが、もうね、何と言うか”イカれてる”。これは僕と小人さんの中では最大級の褒め言葉として二人の間でよく飛び交っているキーワードなのです。笑

いくらシグネットリング一点集中で制作しているKUBUSといっても、大きな枠組みで見れば「彫金」と呼ばれる世界です。だから、彫金作品を見ると「こんな工程でこんな技術を使って作っているんだろうな」ということが分かるようになってきます(それはもちろん、自分にもすぐに出来るか出来ないかは置いておいて。ですが、想像できるということはある程度時間をかければできちゃうだろうと思います)。

でも、この『2代目・つがいバングル』を最初に見せてもらった時、「すごっ。何これ。分かんない。コワイ。」となってしまいました。コワイというのは語弊があるかもしれませんが、そう感じてしまったんです。小人さんにも思わず言ってしまいました。笑

作品に込められているパワーや、その作品から読み解けない制作工程やそれを生み出すために研究と挑戦を重ねた小人さんの姿を想像して畏怖してしまう程に。

創り手をやっていると、作品を一目見ただけで体温が宿っているかどうかが分かってしまう。分かってしまうからこそ、この『2代目・つがいバングル』がハンパじゃないということを感じ取るのには一瞬あれば十分でした。あとは、小人さんから話を聞いて自分が感じたその強烈さが間違っていなかったかどうかを確認するだけ。ウイニングランみたいなものです。ほら、やっぱり尋常じゃない。イカれてるじゃんかって。笑

長々と変な表現をしてしまいましたが、僕が説明するよりも見てもらった方が間違いないですから、皆さんも小人工房さんのブログ見てみてくださいね。

えーっと、ここ最近のKUBUSはと言いますと、ひたすらにご依頼頂いているシグネットリングに手彫りするモノグラムデザインを考えておりまして、これはKUBUSの制作作業の中で最もクリエイティビティをゴリゴリに研ぎ澄まして行わなければならない工程です。だから物凄く消耗する。

一つのモノグラムを描くためには、打ち合わせメールを何度も何度も読み直します。その中に綴られているお言葉やそこから察知したご依頼くださった方の雰囲気を感じるために。それがボヤけているうちはペンを手に取ったって何も描けやしません。

「きっとこんなシグネットリングがお似合いになるはずだ」というイメージが湧き、ようやく描き始めるかと思いきや、まだです。まだそれでも描けません。

続いて、察知したご依頼くださった方の雰囲気と近い香りがするあれこれについて調べます。映画や本、絵画や建築物、音楽、風景、植物、、、などなど。

便利な世の中だから工房にいながらにして世界中へ探しに行けますが、全てがそこにある訳じゃないから時には外に出ていくことも。

それを行うのは、具体的な模様などを探したいというよりは、お人柄から感じる雰囲気をシグネットリングへ入れるために、それとの間にもう少し具体的なイメージを置いておきたいという意味合いが大きいです。

そういったあらゆる事柄に触れ、とにかく沢山の情報を入れてそれらを混ぜ合わせたり、掛け合わせたり、不要な要素を引いたり、、、。この頭の中で行う作業がどうしてもうまくいかない時は、先ほどの情報を収集する工程へまた立ち返ったりすることもしばしば。机に向かって頭を抱えたり、車を走らせて一旦頭の中を空っぽにしてみたり、あの手この手で弾き出そうともがくんです。

そうしてやっと調合できたオリジナルの香りをモノグラムに纏わせるため、やっとこさペンを手に取り紙へ描き具現化していきます。しかしながら、これだけ事前にありとあらゆることを行ってもそうは簡単に納得のいくモノグラムは描けません。手が固まってしまう程にペンを握り続け、紙に穴が空いてしまうほどに何度も描き直し、ようやくご依頼くださった方に提案できる姿となります。

本当はこんな「大変なことしてます」アピールみたいなことしたくない。でも、時々、ごくごく稀にですけれども、「デザインいつできる?まだなの?早くしてくれ」みたいな連絡が来ます。その瞬間、それまで行っていた先ほど紹介したようなあれこれが砕け散ります。「はぁ。やってますよ。ずっと。」

口うるさいようですが、形になるまでにもフル回転でありとあらゆることをしています。そんな時には言ってしまいたくなるんです。「じゃあ一緒にシグネットリングができるまでの全ての工程を僕の横で付き合ってみてください」と。おそらく気絶するだろうと思います。笑

もちろん、ゲソゲソになってしまう程に大変なことをやっているから良いのではないし、シグネットリングそれ自体も手彫りするデザインも何もかも全てオーダーメイドというのは一般的な所謂”オーダーメイドジュエリー”に比べ、お届けまでに時間がかかってしまうから、まだなのかなというお気持ちにさせてしまうことも重々承知しています。

でも、一つ分かってもらいたいのは、生み出すこと創造することは並大抵じゃない。何もKUBUS斎藤という一人の人間を敬って欲しいということじゃない。少なくとも、「創造する」という行為を行っていることにだけはリスペクトをして欲しい。

とは言っても、そういった方からのご依頼を受けたからには全力でやります。だって、本当は打ち合わせの時点で分かってるんです。そういう方かどうかって。(もう一回言いますが、胸に飛び込んでしまいたくなる程に優しい方からのご依頼ばかりです。すごくすごく有難いです。でも、時々、本当に時々心無い人がいるから余計に気になってしまって、、、。)

KUBUSを日々行っていると、打ち合わせメール一通で「あれ。なんかおかしいぞ。」ということが分かってしまうんです。その違和感があるにも関わらず、そういった方からのご依頼を受けたのだから、オーダーを頂いた以上もちろん全力でやります。

打ち合わせメール一通で分かってしまうなんて大袈裟だと思われてしまうかもしれませんが、これマジです。性別はもちろん、大体どれくらいの年代の方なのかということも分かります。

もっと言えば、お問い合わせ頂いても、きっとこの人は注文してくれないだろうなということまで分かります。

それはその方に責がある訳ではなく、単に僕やKUBUSと相性が良くないというだけ。こちらはプロだから、打ち合わせメールからそれだけ察知することができるのに、違和感を抱いたままご依頼を受けてしまった僕が悪いんです。

でも、こちらから選別するようなことはしたくないし、そんなの間違ってる。だから、どうしても作りたくないよという方にはオブラートぐるぐる巻きで僕の負のオーラでしたためた爆弾を送りつけます。笑

しつこいようですが、ほとんどの方は「KUBUS以外には作らせない!」と思ってしまう程に息が合う方ばかりですからね?このブログを読んで「あれ、自分だろうか。」と思っている方はきっと違います。笑

じゃあこんなこと書くなよという話ですが、そりが合わないごくごく一部の方の中の一人にでも届いて欲しいという一縷の望みをかけて、珍しく物申してみました。

きっとKUBUSで制作させて頂いたシグネットリングを見てもらえば一目瞭然、こりゃお互いへの尊重の気持ちがないとこうはできないよねと分かって頂けるかと思います。

今回のブログで紹介をさせて頂くのは『ご夫婦のイニシャルを組み合わせたモノグラムを刻んだペアシグネットリング』。

モノグラムを作成させて頂く場合、あらゆる組み合わせが考えられます。ご自身のイニシャルを組み合わせたり、モットーの頭文字を組み合わせたり、お名前の漢字をモノグラムにすることもあります。

今回はお二人のお名前のイニシャルを一文字ずつ組み合わせたモノグラムを刻んだシグネットリングを制作させて頂きました。

普段はメールでの打ち合わせが多いKUBUSですが、時々工房に行ってみたいとご連絡を頂くことがあります。自宅工房で店舗ではないですし、もちろん看板も出してない。笑 加えて、オーダーメイドだからお見せできるものがほとんどないのですが、制作現場を見て直接創り手と話しながらオーダーをされたいという方に向けてアポイントメント制で受付をさせて頂いています。

今回ご依頼くださったお二人も工房へお越しくださり、「こんな形がいいかな。フェイスサイズはどうしましょう。素材は?モノグラムはこんな雰囲気で。」等々を話し合いながら一緒にその輪郭を描いていきました。

奥さまは「Rectangleシェイプ(Face size:13mm×11mm)」「側面にくびれを持たせて」「素材はK14YG(Yellow Gold)」、旦那さまは「Mellow Squareシェイプ(Face size:14mm×14mm)」「側面にくびれを持たせて」「素材はK10YG」、手彫りするモノグラムはお二人のイニシャルを組み合わせて「2文字で一つというようにまとまりのある感じに」。

今日は冒頭で大変ですアピールをしてしまったのであまり苦労は語りません。笑

お会いしてお二人から伺ったご希望を形にするべく、まずはシグネットリング本体の制作を。ペアの場合はなるべく同時進行で。もちろん一気に二つは作れないから、この部分をやったら、相棒のこの部分もみたいに。一歩一歩。

ただでさえバランス感覚が必要なシグネットリングの造型作業ですが、形も素材も異なったとしてもどこかペアな香りがするように形作っていきます。

まだ粗削りの状態ですが、いい感じ。

造型作業完了の写真

表面を幾重にも番手を重ねて研磨し指が真っ黒になってきた頃、ようやく手彫りを待てる姿に。

シグネットリング本体の制作と並行して進めていたモノグラムデザインの作成。伺っていた『お二人のイニシャルを組み合わせ、2文字で一つなモノグラム』にするべく。

そしてお二人にご決定頂いたモノグラムデザインをシグネットリングへ手彫りに備えて下書きしていきます。

こんな風に。

モノグラムをシグネットリングへ下書きしている姿

何だかすごく孤独に見えますね。笑 確かに制作は孤独な作業ばかりですが、ご依頼くださった方の想いを胸に力を貰いながらだから大丈夫。

よし、書けた。

奥さまのシグネットリングへ下書き_KM反転彫り

旦那さまのシグネットリングへ下書き_KM反転彫り

お二人のイニシャルを組み合わせた「KM」のモノグラム。まるでお二人のロゴのように、まとまりのあるモノグラムとなるように描かせて頂きました(反転彫りでのご依頼のため、デザインが反転しています。後ほどのスタンプをした姿もお楽しみに!)

それぞれ形状も違いますし、フェイスの大きさも縦横比も異なるため、同じモノグラムデザインだとしてもそのまま同じようにするのではペア感が薄れてしまいます。だから、そこにも工夫をしながら。

そして、手彫りとなると、今度は立体的にモノグラムを表現していく訳なので、彫りの深さや「K」と「M」の重なり具合にも気を配らなければなりません。

同じ形状、同じフェイスサイズであれば同じように彫り込めば良いのですが(それもまた難しいですが)、そうではない場合、彫り込まれた姿とスタンプした状態がどちらも同じようなバランスにする必要があります。んー、説明が難しいな。汗

例えば、違う大きさ、違う形状の花器があったとします。そこに同じ種類の花や葉を使って同じようなバランスで生けようとする際、大きな花器と全く同じように小さな花器に生けてしまうと盛り盛りになってしまう。小さな方に合わせると今度は大きな花器の方はスカスカになってしまいます。それに加えて形状も違うとなると、花や葉の長さも本数も生け方もそれぞれの花器に合わせなければ、二つを同じバランスで生けることができません。

どうでしょう?伝わりましたかね。深さも幅もそれぞれのシグネットリングに合った手彫りを行わなければならず、それには経験と技術とセンスが必要。

さあ、ハードルが上がったところで手彫りができた写真をどうぞ。

KM反転彫りどちらも完了した様子

こうして二つのバランスが整っていればなんてことないように感じられてしまうかもしれませんが、それが少しでも崩れていると違和感が出てしまうんです。

ではでは、仕上げ磨きをしたらいよいよ完成です!!

ですが、ちょいと勿体ぶってみましょうかね。笑

まずは、奥さまの「Rectangle Signet Ring(K14YG)」を。

奥さまご着用分_Rectangleシェイプ_K14YG

奥さまご着用分_Rectangleシェイプ_K14YG_側面のくびれ

続いて、旦那さまの「Mellow Square Signet Ring(K10YG)」を。

旦那さまご着用分_MellowSquareシェイプ_K10YG

旦那さまご着用分_MellowSquareシェイプ_K10YG_側面のくびれ

僕はシグネットリングの色気はくびれにこそ宿ると考えています。フェイスから肩、腕の部分へとリズム良く自然に繋がる美しいラインとなっていなければこの色気は出ません。(もちろん、くびれのないシグネットリングはまた別の色気の出し方があります。ニヤリ。)

それでは、遂に二つ並んだ写真をどうぞ!

ご夫婦のイニシャルを組み合わせたモノグラムを刻んだシグネットリング_完成

ご夫婦のイニシャルを組み合わせたモノグラムを刻んだシグネットリング_完成2

スタンプもバッチリ!

ご夫婦のイニシャルを組み合わせたモノグラムを刻んだシグネットリング_シーリングスタンプ

ご夫婦のイニシャルを組み合わせたモノグラムを刻んだシグネットリング_シーリングスタンプ2

KUBUS斎藤が制作をさせて頂きましたという証に、僕が普段肌身離さず着けている最初に手彫りしたシグネットリングで蝋封をして、いってらっしゃい。

蝋を垂らしている姿

シグネットリングでスタンプをしている姿

ご依頼をくださったOさまご夫妻、この度はお二人のシグネットリングの制作をお任せ頂き本当に有難うございました。お二人ともご満足頂けていると聞くことができてとても嬉しいです。これから沢山お二人の歴史を刻み込んでいってくださいね。

到着のご連絡と共にお送り頂いた素敵な写真を皆さんにもお裾分け。

お送り頂いた開封写真

”本当の”シグネットリングは、創り手とご依頼くださる方とがタッグを組むことができなければ決して生み出せません。そのためなら僕は何だってします。シグネットリングにはそれだけの魅力があるから。


KUBUS 斎藤

【Gallery】Hand Engraved Rectangle Signet Ring(K14YG)&Mellow Square Signet Ring(K10YG)「KM」

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