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2023-08-12

イニシャルと孔雀のモチーフを冠したお守りのシグネットリング

こんにちは。KUBUSの斎藤です。

世間的にはお盆休みですが、特にカレンダー通りではないKUBUSは平常営業です。ご依頼品制作優先で取り組む日々ですが、多くの方々がお盆休みということは「このタイミングでブログ書けばいつもより読んでもらえるのでは!?」と企みまして、珍しく前回の更新からあまり日を空けずにブログを書いてみています。

先日、渋谷ヒカリエで8月23日(水)まで開催されている写真展『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』へ行ってきました。

スタジオで作り込まれた写真よりも、その写真家の目を感じることができるスナップ写真が好きな僕にとっては、そうした作品の数々にとても刺激的な経験をすることができました。

世の中でどれだけ素晴らしいと評価されている写真家より僕の弟であるSOMA以上に心を掴む写真家はいませんでしたが、被写体への愛情と撮影者の息遣いが感じられるソール・ライターの作品を通して、何故僕は彼の撮る写真に魅せられ続けているのか少し分かったような気がしています。素晴らしい写真展でした。

SOMAの写真

KUBUSの工房に飾っているSOMAの写真


ソール・ライターの作品集

写真展で購入したソール・ライターの作品集

さて、今回のブログで紹介するのは、お守りとして身に着けていきたいとご依頼を頂いたシグネットリングです。号数やシェイプ・フェイスサイズ、彫刻デザイン等、一つ一つコミュニケーションを重ねながら制作させていただきました。

まずは造型作業が完了したシグネットリングの姿からお披露目。

造型作業完了

「シェイプ:Octagon」「フェイスサイズ:13.6mm×11.6mm」「素材:K9YG」

『着けた時に目立たせたい』というご希望から、手の写真を送っていただいたりしながら制作開始前の打ち合わせではフェイスの高さ(縦)について決定し、横幅についてはこちらで全体のバランスを見ながらお任せで制作させていただきました。

念のため、この先の工程へ進む前に途中フィッティングのために一旦送りし、号数とフェイスサイズをご確認いただき、バッチリ合格を貰えましたので続いて彫刻作業へと移っていきます。

彫刻をするのはご依頼くださった方のイニシャル「YM」と厄除けのシンボルとして以前からお好きだと伺った「孔雀」を組み合わせて、”紋章のようなデザイン+模様やモチーフ”で作成させていただいたモノグラム。

「YM+孔雀」モノグラム下書き

各部への装飾はまだシグネットリングへの下書き段階では描き込んでいないため、彫刻が完了しその全体像が明らかになってからデザインの詳細について説明していこうかと思います。

それでは彫刻開始と参りましょう!

普段のブログでは作業に集中しているあまり、彫刻の途中で写真を撮影するのが邪魔くさくてその経過をあまりお見せしていないため、もしかするとザクザク彫ってあっという間に彫刻完了!となっているのではないかとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、それは完全にNO!!金属相手ですし、彫る対象も縦横約1cm程度しかないところへ非常に細かい彫刻を施していくのですから、じっくりじっくり彫り進めていくことしかできません。

「YM+孔雀」モノグラム彫刻途中経過

今回のようなデザインとなると数日間ルーペを覗きっぱなしというのも決して珍しくありません。

そうしてようやく彫り終えた姿がこちら!

「YM+孔雀」モノグラム彫刻完了_正面から

「YM+孔雀」モノグラム彫刻完了_斜めから

「YM+孔雀」モノグラム彫刻完了_斜めから_引きの写真

「YM+孔雀」モノグラム彫刻完了_彫刻の深さを表す写真

スタンプをするとどれだけ微細でありながら大胆に彫刻を施しているのか更にお分かりいただけるかと思います。

「YM+孔雀」モノグラム彫刻完了_スタンプ

「YM+孔雀」モノグラム彫刻完了_スタンプ_斜めから

「YM+孔雀」モノグラム彫刻完了_スタンプ_斜めから2

孔雀をそのままの姿でアルファベットと組み合わせるのではなく、孔雀を表すようなモチーフや模様を各部へ入れることで表現していきました。

モノグラムの上部にあるモチーフは孔雀の「冠羽」をイメージして作成したモチーフ。”冠羽”という名の通り、冠のような姿をしていてその美しい羽の次に孔雀を特徴付ける要素です。冠羽には自分という存在に胸を張って生きていけるようにと意味を込めました。そして、そうした姿の美しさを表すべくその左右には星のようなマークを。

「YM」の両側から包み込むように描いた孔雀の羽は、ご依頼くださった方を守ってくれるようにと願いを込めて。

そして、「Y」の一部分を孔雀の羽で描き、いつでも自由に美しく自らを表現できるようにと願いを込めさせていただきました。

もしかすると写真では大きく見えるかもしれませんが、これくらいのサイズ感です。

「YM+孔雀」モノグラム彫刻完了_スタンプ_KUBUS斎藤の手に持った様子

先程からチラッとフェイス部分へ手彫りしたモノグラム以外の彫刻が見えていますが、こちらは追加で彫刻のご依頼を頂いたタイ数字で9を表す「๙」の文字をアレンジしたもの。

タイでは「9」が縁起の良い数字として認識されていて、その発音が”前進”や”進歩”を意味する単語と同じ発音であることなどから縁起が良いとされているそうです。宗教的にも文化的にも歴史的にもタイの人々に大切にされている数字のようで、お守りとして身に着けていただくシグネットリングにピッタリですね!

さぁ、それでは仕上げ磨きをしたらいよいよ完成です!!!

イニシャルと孔雀のモチーフを冠したお守りのシグネットリング_完成

イニシャルと孔雀のモチーフを冠したお守りのシグネットリング_完成_拡大

イニシャルと孔雀のモチーフを冠したお守りのシグネットリング_完成_シーリングスタンプ

オーダーくださったYさん、この度はご依頼本当に有難うございました!お送りいただく一通一通のメールがまるでお手紙のように温もりがあって、僕もそうした気持ちで楽しみながら打ち合わせや制作をさせていただくことができました(^^) 今回制作させていただいたシグネットリングがYさんをいつでも守ってくれますように。

また次回のブログでお目にかかりましょう。それでは!


KUBUS 斎藤

【Gallery】Hand Engraved Octagon Signet Ring(K9YG) 「YM+孔雀を表すモチーフ(冠羽、羽、模様)」+「๙(タイ数字9)」

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