イニシャルと家紋を組み合わせたシグネットリング
こんにちは。KUBUSの斎藤です。
多くの方はお盆休みですかね?せっかくのこの時期なのに地震や台風などの存在を意識しなくてはならず、不安で夏休みに心を委ねられないという方もいらっしゃるのではないかと思います。僕もそんな中で制作をしています。
ですが、恐れているだけでは仕方がないですからね。必要な備えをしたら、あとは心が安らぐことに集中しましょう。映画を観たり、本を読んだり、音楽を聴いたり、絵を描いたり、、、。
せっかくこうしてKUBUSのHPを覗いてくれた方が、ブログなどを通して映し出されるシグネットリングや芸術の温もりによって少しでも心がほぐれたら嬉しいです。
先月、ある企画展観たさに日帰りで宇都宮まで行ってきました。
向かったのは宇都宮美術館で2024年8月18日まで開催されている『大川美術館コレクションによる 20世紀アートセレクション ―ピカソ、ベン・シャーンからポップ・アートまで』。
制作を生業としている僕にとってのバイブルの一冊、『アート・スピリット ロバート・ヘンライ【著】/野中邦子【訳】(国書刊行会)』(書籍概要:国書刊行会HP)の著者ロバート・ヘンライの作品を一目見るために。
著書をきっかけに出会った画家の絵を間近で観られたのはもちろん、他の画家の作品も素晴らしいものばかりでした。わざわざ宇都宮まで行って良かった。
実物を目の当たりにして特に心が震えたのはモーリス・ユトリロの『花』という作品でした。
彼の作品は別の美術館でも観たことがあり、お土産にポストカードを買って帰るほどに心に残っていた画家の一人でした。ユトリロはモンマルトルの街並みを主題とすることが多かった画家なのですが、彼の描く静物画を今回初めて目にして魅了されてしまいました。
ユトリロの作品から感じる哀愁にぎゅっと心を締めつけられ抱きしめたくなってしまいます。きっとそれは彼の壮絶な人生が滲み出ているからなのだと思います。
自分の身に起こった良いことも悪いことも、全てをないまぜにして作品として昇華できるのが作品制作をする人間にとって何よりの癒しであったりします。そしてそれに触れた人も癒すことができるのが芸術の力です。
世の中がピンチになると真っ先に切り捨てられるのが芸術ですが、どうかそんな時こそ芸術の力に頼ってみてください。人生を豊かにするだけでなく、人間らしく生きるために芸術は不可欠な存在です。その力を信じて僕はこれからも制作を続けていきます。
今回のブログで紹介をするのは「イニシャルと家紋を組み合わせたシグネットリング」。和を強く感じさせるものが多い家紋ですが、イニシャルと組み合わせてKUBUSがデザインするとどのようになるのかご注目ください。
メールで打ち合わせを行い、下記の内容で制作をさせていただけることとなりました。
- 形状:Oval
- フェイスサイズ:14mm×12mm
- 素材:K10YG
- 手彫りモノグラム彫刻:「RK」+「家紋(組み合い角に違い鷹の羽)」”紋章のようなデザイン+模様やモチーフ”
- 側面手彫りモノグラム彫刻:「GL」”筆記体をもとにした流れるようなデザイン”
- フェイス部分裏面機械彫り:「家紋」
まずは例によってシグネットリング本体の造型作業が完了した状態の写真からスタートです。
「シグネットリングといえばOvalシェイプ」というほどに歴史的に見てもOval形状はシグネットリングの定番です。そのため、多くのシグネットリングブランドがこの形状を制作していますが、定番だからこその難しさがあります。
日本でもシグネットリングが少しずつ広まってきて、セレクトショップ等でシグネットリング専門でないブランドの物を目にする機会も増えてきました。そうした物もやはりOval形状が多いように感じますが、シグネットリング屋でないブランドがうっかり手を出してしまった軽薄さが顕著に現れている物がほとんどです。定番だからこそ誤魔化せないのです。
シグネットリング専門店だけで並べてみても違いが少なくなく、そのブランドの価値観やセンスが大いに反映されます。
Oval形状はもちろん、KUBUSのシグネットリングは専門店としてどこに出しても恥ずかしくない造形になっているはずです。シグネットリングを作るために彫金を初め、シグネットリングでご飯を食べているんですから他とは気合いと愛情が違います。笑
一つ一つ「ここが違う!!」と挙げていくなんて野暮なことはしませんが、KUBUSのシグネットリングに見慣れている方ならきっと分かっていただけるのではないかと思います。
ちょいと熱くなってしまいましたが、話をご依頼品の紹介へと戻します。
こうしてシグネットリング本体の造型作業を行うのと並行し、彫刻をするモノグラムの作成も進めていました。
彫刻を行う前にご依頼くださった方へモノグラムデザインの提案をし、無事に合格となったらシグネットリングへ下書きをしていきます。
ここではまだモノグラムの全貌が分かりにくいので、後ほどデザインについてご紹介しますね。
それでは、いよいよ彫刻開始。
各部の細かな装飾も彫り込んだらフェイスへの彫刻は完了です。
ご依頼くださった方のイニシャル「RK」と「家紋(組み合い角に違い鷹の羽)」を組み合わせ、”紋章のようなデザイン+模様やモチーフ”で作成したモノグラムです。
「組み合い角に違い鷹の羽」の家紋は中心に大きく2つの羽が描かれますが、それでは主役のイニシャルが隠れてしまいますので、この家紋の特徴を押さえながら「RK」の後ろからご依頼くださった方を守るように羽を置きました。もちろん「RK」もKUBUSのオリジナルデザインです。
これだけ細かく立体的な彫刻をした後は流石に腕がヘロヘロ。でも、これで終わりではありません。休憩をしたら続いて側面へ彫刻を行っていきます。
側面へ彫刻するのは「GL」のモノグラム。こちらは”筆記体をもとにした流れるようなデザイン”で作成させていただきました。
側面はアールがついているので、彫刻の際にはまた少し違ったコツが必要です。
無事に側面への彫刻も完了しました。
各部への手彫り彫刻が完了し、仕上げを行ったら遂に完成です!!
裏面には家紋とKUBUSロゴが機械彫りで入っています。※KUBUSロゴは普段からサービスで入れています
KUBUSグリーンのリングケースに入れて、ワックスインプレッションと一緒に行ってらっしゃい。
Kさま、この度はご依頼ありがとうございました!気に入っていただけて良かったです!シグネットリングをよろしくお願いいたします。
今回のブログも最後まで読んでいただきありがとうございました!こちらのシグネットリングの彫刻の様子を映像でもご覧いただけます。よろしければこちらもチェックしてみてくださいね!
KUBUS 斎藤
【Gallery】Hand Engraved Oval Signet Ring(K10YG)「RK」+「家紋(組み合い角に違い鷹の羽)」(側面彫刻:「GL」)
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