【Bespoke Order】Hand Engraved Triangle Signet Ring(18ct Yellow Gold)「A,桃の花と枝」
こんにちは。KUBUSの斎藤です。
今回のブログで紹介をするシグネットリングもまた、オーダーくださった方とKUBUSとのスペシャルコラボレーションな要素盛り沢山。「これぞオーダーメイド!」といった魅力を感じて頂けるのではないかなと思います。
それでは参りましょう!
オーダー内容は、「トライアングルシェイプ」「素材は18ct Yellow Gold(K18)」「手彫りモノグラムは「A、桃の花と枝」」「フェイス裏面には家紋、腕部分裏面には日付とお名前を機械彫り」。
KUBUSでトライアングルシェイプのシグネットリングを制作させて頂くのは初めてですね。一口に三角形のシグネットリングと言っても、考えられるデザインは様々。
今回は、オーダーくださった方からイメージ写真をお送り頂きましたので、それをもとに制作をしていきます。そして、そのイメージ写真になるべく近いようにということでご希望を伺いました。
ただ、せっかくのビスポークですし、ただの真似っこならKUBUSが作る必要はございません。(ん?ワガママ?大丈夫、考えはあります!)
もちろん、イメージ写真のようにというご注文ですので、それを無理くりねじ曲げてしまうようなことはしません。全体的な雰囲気を損ねない程度に「KUBUSならここはこうするな〜。その方が格好良いし、着け心地も良いもん。」というところを変更しつつ、一から制作をしていきます。
そのイメージ写真の指輪に比べてどこをどう工夫したのか、具体的にお伝えしたいのですが、他のお店の写真を載せる訳にもいきません、、、。
なので、制作途中の写真をお見せしつつ、なんとか紹介ができれば良いなと考えております。
では、粗削りまで完了した姿を早速見て頂きましょう!
簡単にポンとこの姿が現れたように見えますが、シグネットリングの姿から僕が苦労して作り上げたような様子が見て取れるようじゃダサダサなので、一人悶々としていたシーンはカットしてサラッと登場です。笑
ここまで来るまでに途中でオーダーくださった方と連絡を取りながら造型作業を進めていきました!
形作っていく上で最も意識をしたのは、”フェイスから腕にかけてのライン”。
オーダーくださった方からは『直線的な三角形のイメージ』と伺っていました。ただ、フェイスの直線そのままに腕部分に繋げていってしまうと、腕部分が三角の辺の角度分カクッとしてしまいます。腕部分の表面は、平らもしくは甲丸と呼ばれる柔らかい曲線を描く造りである方が、隣の指への干渉が少なく快適につけることができます。つまり着用中に触れる部分はなるべく角が無い方が良いということ。(言葉だけで伝えるの難しいですね。伝わりますでしょうか?汗)
だから、フェイスは直線的な三角形を描きつつ、腕部分に行くにしたがって丸みを帯びた柔らかいラインに。次の写真を見て頂ければもう少しわかりやすいかもしれません。
いかがでしょうか?フェイスはカクッとしているのに、そこから繋がるラインは柔らかい。これがミソです。
また、腕部分の表面を柔らかい曲線にすることによって、オーダーくださった方のご希望である『直線的な三角形のイメージ』の印象が半減してしまうことを避けるために、フェイスの厚みを他のシェイプに比べて気持ち厚めに設定することでフェイスの三角形を強調し、全体のシルエットを直線的な雰囲気に整えました。
簡単に言えば、足し算と引き算です。着け心地を求めて直線的な印象を引き、その分他の部分で直線的な要素を足す。それによって全体の直線的な印象を与える要素のバランスをとるといった感じです。(余計分かりにくい!なんとか感じ取ってください!笑)
小難しい話はこれくらいにして制作を進めていきますね。
バチッと形が決まったところで、表面をひたすら研いでいきます。
手彫りで使用する「タガネ」と呼ばれる彫刻刀の刃が滑らない程度まで研ぎ終えた姿がこちら。
一見、先程と大差無いように見えますが、実物はかなりツルツルになっています。
続いてはいよいよ手彫り!
事前に何パターンかご提案したモノグラムデザインの中から選んで頂き、オーダーくださった方と相談をしながら更にブラッシュアップをしたデザインをシグネットリングに下書き。
真ん中にシンプルなA、そして、Yをそっと形作る桃の花と枝。シグネットリング自体のシェイプと同じように直線を基調としたデザインでありながら、さりげない優しさを感じさせる温もりあるデザインです。
普段は全体のバランスを見ながら彫りたいので、可能な限り倍率低めのレンズをルーペに付けるのが僕のスタイル。でも、こちらのデザインはご覧の通りかなり細かめ。いつもよりもう一段高倍率のレンズを使いながら彫っていきます。
ゆっくりじっくり。オーダーくださった方と一緒に考えたデザインを、このシグネットリングに命を吹き込んでいくように。
よーし!彫れました!!
ギュッとスタンプしてみるとこのような感じ。
うん、いい感じ(^^)
オーダー頂いてからここまでの道のりが決して簡単なものではなかったことを、湧き上がる達成感と肩から伝わるピリッとした痛みから実感しつつ仕上げ磨き。
完成です!!!
手彫りしたモノグラムにググッと近づくとこのような感じ。
桃の花は花びらの重なりを意識しながら一枚一枚彫りました。
フェイス部分裏面には家紋を機械彫り。
そして腕部分裏面には、大切なお名前と日付を機械彫りさせて頂きました。
こちらのシグネットリングをオーダーくださったYさん、ご注文本当にありがとうございました。『まさに職人の仕事』というお言葉、すごく有り難いです。光栄です。お手元にお届けした後に教えてくださった、Yさんがシグネットリングを着けたいと思われた想い、完成したリングの姿を見るとその想いがしっかり込められていると感じます。制作中は伺っていなかったにも関わらず込めることができているのは、Yさんが具体的なご希望をいつもお伝えくださったことはもちろん、シグネットリングがご着用頂く方お一人お一人の想いを大切に大切に込めることができる特別な指輪だからなのかなと、その不思議な力を改めて実感しています。きっとこのシグネットリングがYさんをいつも見守ってくれるお守りとなるはずです。大切なシグネットリングをKUBUSに任せてくださり本当にありがとうございました!
素敵なご着用写真を頂きましたので、皆さんにもお裾分けです。
この嬉しさや有り難さ、ぬくもりを感じる度にKUBUSをやっていて本当に良かったと心がぽかぽかと温かくなります。
こんなことを言うのは生意気だと思われてしまうかもしれませんが、天職なんだなと感じます。
拘りが強すぎて作業スピードはものすごくゆっくりだし、心のチューニングが上手くいっていない時はどうしたって作れないし。そんなだから「向いてないのかな」なんて思うことも多々あります。
でも、この手から作り出した想いの結晶が届けた方の心を動かしたり抱きしめることができる、大切にしてもらうことができること。これは誰にでもできることじゃないんだなって。「どうだ俺スゲーでしょ」ってことじゃなくて、かけがえのないことだと思います。
だから僕にとってはKUBUSが天職なんです。
KUBUSを選んでくださる皆さんのおかげで僕はKUBUSでいられます。
いつも本当にありがとうございます。
KUBUS 斎藤
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