2019-12-09

【Bespoke Order】鍛造 Signet ring(Brass) face type:Circle

今回制作をさせて頂いたのは、鍛造で作るシグネットリング。鍛造というのは、文字通り”鍛えて造る”ということ。金属の塊から金槌で叩き伸ばしたり曲げたりして指輪の形に成形をしていく作り方です。

この方法にするメリットはいくつかあるのですが、何度も火を入れながら叩くことで金属内部組織が整い、金属が締まり丈夫な指輪ができるということ。あとは何より鍛造でシグネットリングが作れるってことはジュエラーからするとカッコイイというのもあります。笑

ただ、シンプルな細いリングであれば鍛造で作るのも訳ないのですが、シグネットリングを鍛造で作るというのは結構な大仕事なんです。そんな鍛造シグネットリング制作の模様と僕の頑張りを姑息にアピールしていきたいと思います。笑

最初はこんな姿。

まだ分厚い真鍮の塊です。

これを完成形を想像しながら金槌でひたすら叩きます。寒い中の作業でもこの作業中は体ポカポカ。夏だとかなりキツイ作業です。

だいぶ叩けました。

これでもまだ途中の姿なのですが、写真を撮り忘れてしまいました。汗　次はクルッと丸めて輪っかに。

クルッとなんて簡単に言っていますが、叩いたとしても幅も厚みもある地金なので一苦労です。丸める時も必死にトントンカンカンしました。

ロウ付け（溶接）をしたら更に金槌で叩き、なるべくシグネットリングの形に近づけておきます。金槌で出来るところまで成形したら、ここからは鑢（ヤスリ）を使って形を整えていきます。鍛造シグネットリング作りではこの鑢での成形作業もかなりのヘビーさです。色々な形の鑢を使い分けて、シグネットリングのセクシーなシルエットを追い求めていきます。

だいぶ完成が見えてきました。

ここでご注文くださった方に途中経過をご確認頂きます。

無事合格通知を頂くことができました！

ここからは紙ヤスリに持ち替え表面を滑らかに整えていきます。表はもちろん、指に直接触れる内側部分も丹念に。途中機械を使用するパートもありますが、そんなのはほんの少しで、KUBUSではこの紙ヤスリがけも手作業９割で進めます。シグネットリングは特に曲線の美しさが重要なデザインなので手作業でヤスリがけをしないと格好良いシグネットリングにならないんです。

だいぶ紙ヤスリがけも進みました。

#2000という細かさの番手まで手作業でかけたら、ここで少し機械の力を借りて仕上げ磨き。今までの苦労が報われる瞬間の一つです。同時に、ここまでの間で手を抜いてしまうとそれが顔を出してしまう残酷な瞬間でもあります。

無事綺麗に仕上がりました！

今回のシグネットリングのシルエットに関するご注文くださった方のご注文内容は、フェイス部分がサークル、その大きさは直径12mm、腕部分にかけてのくびれは控えめに、というものでした。でも実はこのご注文内容の中で一部僕からの提案として途中で勝手に変えてしまったところがあります。

それは、フェイス部分の形状。ご注文内容はサークル（円）でしたが、全くの円で作ってしまうと、全体のシルエットからフェイス部分が横長に見えてしまうため、若干、本当に若干縦長に調整しました。数値にすると１mmにも満たない程横を潰しているのですが、するとしないとでは大違いなんです。あ、これ頑張ったアピールです。笑

今回ご注文くださったT様、本当にありがとうございました！僕が納得できるものでないとお渡しできないというわがままのせいで、完成までかなり長い間お待ち頂いてしまいすみませんでした。ですが、何度もやり直し、その結果すごく格好良いシグネットリングに仕上がったと思います！実物をご覧頂きイメージ通りになっているというお言葉をもらえて安心しました。是非これからの装いの一つとして、お守りの一つとして可愛がってやってください！

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました！

KUBUS 斎藤

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