2020-08-14

【Bespoke Order】Hand Engraved Big Oval Signet Ring(18ct Yellow Gold)「HL」

こんにちは。KUBUSの斎藤です。

歴史的な文献を調べながら試作を重ね、KUBUSが考える「シグネットリングと言えばこれ！」というデザインを表現したのが、KUBUSで最も多く制作させて頂いている『Oval Signet Ring』。

拘った点は数多あるのですが、特に時間をかけて決定をしたのがフェイスサイズ。「さりげなく主張する」ということに重きを置いて寸法を決めていきました。

今回のブログで紹介をさせて頂くシグネットリングは、そんなKUBUSでよく制作をさせて頂いているOvalシェイプをもとに、オーダーくださった方のご希望に合わせてリデザインし制作をさせて頂きました。

オーダージュエリーを制作をさせて頂くにあたり、指輪のデザインや手彫りモノグラムのデザインはもちろん大切ですが、まずしっかりと決めていかなければならないのが、「制作号数」。実店舗のないKUBUSでは、これがまず最初のハードルでもあったりします。

いくら格好良い指輪に仕上がったとしても、ご着用くださる方の指に合わなければ意味がありません。

でも大丈夫！号数を計測するためのリングゲージをこちらからお貸出しすることもできますので、ご検討中の方はご安心くださいね。

その際、「1号、2号、3号、、、」と計測できるタイプと、「1.5号、2.5号、3.5号、、、」といったようにハーフサイズを計測することができる２種類のリングゲージをお送りします。より快適に指輪を着けて頂けるよう、細かく採寸できるような仕組みとなっております！

「リングゲージを使ってもどの号数がちょうど良いのか判断が難しいな」といった場合は、ビデオ通話等でアドバイスをさせて頂きながら決定していくといったことも行っております(^^)

今回オーダーくださった方からは、デザインを決めるにあたりOvalシェイプのサンプルを見てみたいとお伝え頂いていましたので、それと一緒にリングゲージもお送りして採寸をして頂きました！

それによって、号数の決定と、シグネットリングのシェイプについては「もう少しボリューム感のある方が良いかな」ということをご判断頂け、これによって僕の頭の中では完成形がふわりと浮かび上がってきました。

『シグネットリングの王道ともいうべきオーバルで』というご希望をご連絡頂いた当初に伺っておりましたので、先ほど書いたKUBUSで多く制作をしているOvalシェイプと、向かう方向性は同じ。

”ボリューム感があってどっしりとした雰囲気”をどれくらいの加減で表現するか。これが今回のリングデザインを決めていく上で重要なポイントです。

ここで生きてくるのが、『Oval Signet Ring』を発表するべく試作を重ねに重ねた時の経験。あの時「あと1mm、んーもう1mm。」そんなギリギリのラインを研ぎ澄まし狙い澄ました苦労が役に立つ時が来ました！

普段多く制作をしている『Oval Signet Ring』のフェイスサイズの寸法は13mm×11mm。これに縦横＋1mmじゃ、お話を伺っている中から感じるボリューム感のご希望には少し足りないような気がする、、、。でも、＋3mmはやり過ぎ。これじゃシグネットリングの上品さが損なわれてしまう。（制作号数によってはこれが格好良い場合もあります。単にフェイスの大きさだけでなく、号数とのバランスも重要なポイントです。くぅ〜奥深い！笑）

よし！それなら、＋2mmだ！！これならボリューム感がありつつ、上品さも持ったシグネットリングに仕上がる！

こんな風に弾き出した寸法をオーダーくださった方にご提案し、無事にお任せ頂くことができました。

それではいよいよ制作開始です！！ここまでで既にボリューム感のある文章になってしまいました。汗　ここまで文章のみのヘヴィなブログとなっているにも関わらず、ついて来てくださっている方ありがとうございます！もうすぐ写真が出てきますからね。

フェイスサイズの寸法に合わせて各部も少しずつ削り出していきます。シグネットリングのシェイプの良し悪しを決めるポイントの一つは、フェイス→肩→くびれ→腕→内側、これら全てが違和感なく、しかし特徴的に、うまく調和を保ちながら流れていくことだと僕は考えています。

これ以上語ってしまうともう暑苦しくて仕方ないと思いますので、粗削りが完了した姿からそれを感じて頂くことにしましょう。笑

指なじみもしっかり滑らかに。

造型作業ができたら、次は”研ぎ”へと移っていきます。

シグネットリングは緩急さまざまな曲線が組み合わさり、その魅惑的な形を成しています。だから機械でウィーンと「力一発スピード勝負！」なんて研ぎ方は相応しくないですし、当て板に紙ヤスリを付けてといったやり方も最適ではありません。

急がば回れ、最もシグネットリングに合った研ぎ方は手を使うこと。紙ヤスリを手に持って、目の前の曲線がどこに向かってどう描かれているのか、それを指先で感じながら、いくつもの番手を当てていきます。

手が真っ黒になる頃、シグネットリングはかなりツルンとしてきました。

仕上げる時は、ここからさらにもう２段階ほど研ぎ重ねるのですが、この後手彫りが控えているので一旦ここまで。

フェイス部分に手彫りしていくモノグラムは「HL」でご依頼を頂きました！実はこちらのシグネットリング、ご結婚25周年の記念にオーダーを頂けたシグネットリングなんです。だからこのアルファベット2文字は、ご夫婦お二人のイニシャル。

モノグラムデザインをさせて頂くにあたり、「派手な目な感じというよりは、モノグラムとしてスタンダードな感じに筆記体で」とご希望を伺いました。そこにご結婚25周年記念の意味をKUBUSらしく込められたらとデザインを作成。

そのようなテーマでいくつかデザインのご提案をし、選んで頂いたのがこちらのデザイン。

お二人が仲良くダンスしているような雰囲気をモノグラムで表現をしてみました。

さぁ、彫刻台にセットしたらいよいよ手彫り開始です！

タガネの刃の種類を使い分け、筆記体の流れるような柔らかく華やかな雰囲気を表現していきます。鉛筆で書くようにはシュルシュルっとはいきませんが、彫れた姿はまるでシュルっと書いたような様子に仕上げるのがミソです。

よーし！彫れました！

上手く緩急がついていい感じです(^^)

仕上げ前に内側へ品位刻印を施します。

仕上げ磨きをしたら、遂に完成です！！

シーリングスタンプもしました。これも一緒にラッピングしてお届けします(^^)

僕が普段着けている、13mm×11mmフェイスのOval Signet Ringと並べてみるとこんな感じ。

色合いが少し違うのは、素材がK9とK18だからです。2mmの差って結構大きいですよね。

一見細か過ぎるかなと感じるところにまで拘るのが、このように大きな違いを生むんです。それがジュエリー制作の面白いところであり、難しいところです。

KUBUS専用リングケースに収めたら、いってらっしゃい！

こちらのシグネットリングをオーダーしてくださったIさま、ご注文本当にありがとうございました！そして、ご結婚25周年おめでとうございます！そんな大切な節目を記念する品にKUBUSのシグネットリングをお選び頂けたこと、とても光栄です。オーダーメイドで制作するのには、どうしても完成までに何度もやり取りが必要になってしまうことを、いつも「沢山のお手数をおかけしてしまって申し訳ないな。」と感じているのですが、Iさまから「完成までのやり取りも楽しかった」とお伝え頂き、なんだかすごく救われました。到着後の『最高です』とのお言葉、こちらこそ最高に嬉しいです！！また、『自分のアイデンティティとして常に身に着けていたくなる』というお言葉もすごくすごく嬉しいです。それこそシグネットリングの魅力ですよね(^^)これから沢山ご着用頂くことで、Iさまにとってより特別なシグネットリングに仕上がっていくはずです。本当にありがとうございました！

最後に、こちらのシグネットリングをオーダーくださった方から抜群に格好良いご着用写真を頂きましたので、皆さんにもお裾分けです(^^)