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The History of Signet Ring

シグネットリングの歴史

こちらのページではシグネットリングの歴史について紹介をしていきます。

文献等を基に記載をしていき、新たに得た情報があれば適宜更新していきます。一人のシグネットリング好きが纏めたものでございますので、誤ったところがあるやもしれません。その時は優しくお知らせ頂ければ、これ幸いでございます。

それでは参りましょう!

今日ではファッションリングとしてシグネットリングが少しずつ注目をされつつあります。シンプルながら印象に残るそのシルエットは最高に魅力的で、何を隠そうこの私もシグネットリングの魅力に取り憑かれた一人でございまして、それが原因でジュエラーになったと言っても過言ではございません。

そんな魅力満載のシグネットリング。ジュエリーの中でも重要な文化的アイテムで、歴史的に見ても大きな役割を果たしてきました。歴史上最も重要な文書のいくつかには、シグネットリングでスタンプされた跡があり、当時はシグネットリングでのスタンプは直筆サインよりも重視されていました。

シグネットリングの出自は数百年どころではなく、 紀元前3500年頃のこと、、、、。

紀元前3500年頃、メソポタミア文明が発祥したと言われる時代。当時はまだ指輪としてではなく、筒のような形で、その表面に絵柄を彫ったものでした。この筒を粘土の上で転がすことでハンコのように絵柄をスタンプしていたそうです。これはメソポタミアの人々が書類の真正性を証明するためのものとして使用していたり、また、遠方の土地に出荷するための商品を保管する瓶にも使用されていたとのこと。

Mesopotamian cylinder seal (OI)

その筒状のシグネットスタンプは、古代エジプト時代には既に指輪に取り付けられていたと言われています。これがシグネットリングの始まりです。指輪になったことでファラオやその時代の他の重要な人々は自分の地位を示すためにシグネットリングを身につけるようになりました。

Ramesses II's Signet Ring

文献にもよりますが、シグネットリングは聖書にも登場するとしている記述もあり、シグネットリングの重要性をさらに裏付けるものとなっています。

かなり時は過ぎ中世(1610年代)、シグネットリングは手紙や法的文書に署名するために使用をされ、中でも、14世紀中世イングランド王国の国王エドワード2世は、全ての公式文書に国王のシグネットリングで署名をしなければいけないと定めました。それにより他の貴族たちもシグネットリングを身につけるようになったと言われています。

Middle Ages - Edward II

シグネットリングでスタンプする方法は、溶かしたシーリングワックスにシグネットリングを押し込みスタンプをするというもので、シグネットリング によってスタンプされたワックスは多くの文書に残っており、その広範な使用を証明しています。

このシグネットリングでのスタンプ方法は、KUBUSでのラッピングにも採用しています。

シグネットリングには、紋章やイニシャル、モノグラムなどが彫られ、シグネットリングの独自性や及ぼす影響力の強さから、シグネットリングの所有者が亡くなった時には破壊をしていたそう。これは死後に偽造文書が作られることを回避するためでした。

そして、現代においてシグネットリングを語る上で外せない人物の一人は、チャールズ国王でしょう。左手小指にシグネットリングを着用している姿はあまりに印象的です。イギリスでは結婚指輪よりもシグネットリングを重要視するという人々も中にはいるようで、チャールズ国王は結婚指輪を左手の小指にシグネットリングと重ねて着用しています。

Prince Charles & Camilla

しかし、今日ではシグネットリングは上記のように貴族や王族だけに許された指輪ではありません。

このように歴史について書いておいて何ですが、そんな限定的な物では面白くも何ともありませんし、誰にでも身に着けられる物でないなんて差別的で好きではありません。
そんなある一部の上流階級の人々が身に着けることを許されていたという歴史の中身が好きなのではなく、あくまでも私は指輪の中でも特に歴史深いものであるということや、判明していないことがまだ多くあるということ自体に魅力を感じているのだということをご理解頂ければ幸いです。

KUBUSではシグネットリングをどのように捉えているかというと、自分自身のスタイルや想いを表現するための指輪であると理解しています。現代では、自身のシグネットリングを持ち、それを子供や孫、さらにその先へといったように、世代を越えてシグネットリングを受け継いでいったり、自分にとっての御守りとして着用したり、また、結婚指輪としてシグネットリングが選ばれることもあります。

このようにシグネットリングの楽しみ方やそこに込める想いは人それぞれでです。それが楽しく魅力的なのです。現代でもシグネットリングが単なるファッションリングとしてではなく、重要な意味を持つ指輪であることには変わりありません。

    【参考文献】

  1. 『The History Press』https://www.thehistorypress.co.uk/articles/a-brief-history-of-signet-rings/
  2. 『ACCESSORIES Rings』Thames&Hudson Rachel Church V&A Publishing
  3. 『FINGER-RING LORE HISTORICAL, LEGENDARY, ANECDOTAL』 By William Jones,F.S.A.WITH NUMEROUS ILLUSTRATIONS London CHATTO AND WINDUS, PICCADILLY 1877